2006年の夏から始まった、長野県松本市在住のクラシックギター製作家・中野潤氏との楽器研究会も気がつけば7年の歳月が経過。

先週の金曜日にも新作4本の試奏会が、長野県安曇野市にある穂高交流学習センター「みらい」にて行われました。

左手奥から時計回りに、実験器A、B、C、D。 右手一番手前は比較参考に僕が持参したイグナシオ・フレタ・エ・イーホス1998年製。 その奥にあるのは昨年冬から試奏させてもらってきた中野ギター実験器No.3です。

振り返ると実験器No.1は2006年、No.2は2008年、No.3は2012年に作っていただきました。 一号器でいきなりサウンドホールの位置や力木という”本丸”ともいうべき所に攻め入り、その後は外堀を少しづつ埋めるようにヘッドやネック、ブリッジetc...色々な要素を一つずつ検証していきました。 No.3製作の辺りから、最も”音”に影響のあるボディ部分の考察に辿り着き、そこから更にバージョンアップしたのが今回のNo.4です。
で、僕も現地に行って知ったのですが、実験器No.4にはなんと4本の候補楽器が用意されていました。 楽器の構造は全て同じですが、使用されている材質が異なるとのこと。

試奏会では中野潤さん他3名のゲスト審査員の方達と共に多々意見を交換し、4本の候補楽器から最終的に一本を選出した時には既に退館時間を若干超えていました。。。

まだ塗装の工程が終っていないので、この4号器の完成時の”鳴り”は厳密にはまだ未知数なのですが、試奏会の時点では、”楽器とのコミュニケーションのし易さ”という点でこれまで見たこともない様なクオリティに仕上げられていました。 未だかつて聴いたこともないようなギターのサウンド体験を、聴き手にも、弾き手にも与えてくれる、そんな可能性を秘めた実験器No.4でした。